東京芸術劇場シアターオペラvol.13 全国共同制作オペラ
ヴェルディ/歌劇『ラ・トラヴィアータ』(椿姫)全幕
(日本語字幕付原語上演)
インタビュー
矢内原美邦(演出・振付) コメント
「椿姫」はこれまで数多くの演出家によって舞台化されてきました。そんな名作をオペラとはまるで無縁な作品を作ってきた私が演出することになって正直ビビっています。それでもこの作品は語る者、観る者によって世界のそれぞれの側面を見せてくれる懐の深い作品だとも思っています。この作品がいまもなお語り継がれる理由は音楽的な素晴らしさはもちろんのことですが、やはりいつの時代にも通ずる社会的な問題を孕んでいるからだと思います。原題「La traviata」は「道を踏み外した女」という意味です。ヒドイ言われようですが、彼女は自身の存在を認めてもらうために、正しいと思う道を生き抜いたまでだと思うのです。このヴィオレッタという私とは生まれも育ちもその境遇もなにもかも違う女性の生について、その死についてどう描くことができるだろうかと私は考えます。その時代をひとりの女性として、ひとりの人間として、その人生を全うしようとした彼女の生き様をしっかりと見つめ直したいと思います。
ヘンリク・シェーファー(指揮) コメント
今回、日本で初めてオペラを指揮します!
キャスト及びオーケストラの皆さんとのリハーサルを心待ちにしています。ヴィオレッタ役でご登場いただくバカノヴァさんはヨーロッパの多くのオペラハウスでヴィオレッタを歌うスペシャリストです。エネルギッシュで説得力のある声の持ち主である宮里直樹さんとご一緒できるのはとても嬉しく、ジェルモン役の三浦克次さんはベストな声域で素晴らしいアリアを歌ってくれますし、このオペラに出てくるすべてのキャラクターの持つそれぞれの性格の奥深さを充分に楽しんでいただけるでしょう。聴衆の皆さんとお会いできるのが楽しみです。