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芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー 第6回演奏会

オザワ部長による曲目紹介

オザワ部長

吹奏楽作家、オザワ部長が今回演奏される楽曲の聴きどころを紹介!
指揮者として登場する大井マエストロからのメッセージと併せてお楽しみください。

久石譲《Single Track Music 1》

一般には『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』、『もののけ姫』などスタジオジブリのアニメ作品の音楽で広く知られている日本を代表する作曲家の一人、久石譲(1950-)。『風の谷のナウシカ』以降の宮崎駿監督の全作品の音楽を担当しており、他にも北野武監督作品『BROTHER』、滝田洋二郎監督作品『おくりびと』など映画分野で大いに活躍してますが、その原点にあるのは「ミニマル・ミュージック」。直訳すると「必要最小限の音楽」で、特定の音形を反復したり引き伸ばしたりすることで生まれる微妙な差異や変化を表現する現代音楽の一種です。
今回採り上げられる《Single Track Music 1》はまさにそのミニマル・ミュージックを吹奏楽によって奏でる曲で、ジブリの音楽のような親しみやすさとは異質のもの。タイトルは鉄道の「単線」の意味で、全編がユニゾンで構成されています。その中のある音が高音や低音に配置されることで別のフレーズが浮かび上がるような仕掛けが施されています。

【大井マエストロからのメッセージ】
「この作品はジブリの音楽のイメージを強く持たれる方には新鮮に響くでしょう。求められる機敏さはアカデミー生のような若い人たちに向いていると思いますし、共にクラシックとノン・クラシックを往来する作曲家として、久石とヴァイルを並べて聴くのも興味深いのではないでしょうか」

クルト・ヴァイル《小さな三文オペラ》

ドイツの劇作家であるブレヒトの代表作『三文オペラ』は、泥棒集団のボスであるマック・ザ・ナイフを主人公にした音楽劇。オペレッタで成功を収め、映画化もされたこの『三文オペラ』の音楽を担当したのがクルト・ヴァイル(1900-1950)です。この仕事がヴァイルにとって出世作となりました。中でもマック・ザ・ナイフのテーマである《匕首(あいくち)マック(マック・ザ・ナイフ)》は人気を集め、その後、ジャズのスタンダートナンバーとして愛されています。今回演奏される《小さな三文オペラ》は、名指揮者オットー・クレンペラーからのリクエストによって『三文オペラ』の音楽のうち8曲を組曲にしたもので、当初から管楽オーケストラのために書かれています。ジャズの要素も取り入れられたドラマティックな曲です。

【大井マエストロからのメッセージ】
「ヴァイルは、昨年のハルモニームジークプロジェクト(第1弾として酒井健治の委嘱作品を演奏した)の流れを汲む小編成の作品を取り上げたいということと、ヴァイルの生誕120年を記念してということで、東京芸術劇場から提案があったため採り上げることとなりました」

アルフレッド・リード《パッサカリア》

《アルメニアン・ダンス パートI》や《エル・カミーノ・レアル》など吹奏楽の名曲を200曲以上生み出し、「吹奏楽の神様」とも称されるアメリカの作曲家、アルフレッド・リード(1921-2005)。現在でも全国各地の学校・楽団でその作品が頻繁に採り上げられる人気作曲家です。
1967年に作曲された《パッサカリア》は「2人の尊敬する先生、ポール・ヤーティンとヴィットリオ・ジャンニーニの思い出」に捧げられています。「パッサカリア」とは、スペイン語の「パサー(pasar)=歩くこと」と「カレ(calle)=通り」、つまり「路上の踊り」に由来する音楽と考えられています。もともと路上音楽家たちによって屋外で踊る音楽として演奏されていたとも推察されます。曲は3拍子で、「固執低音」と呼ばれる短い旋律が繰り返し反復される形式で、リードの《パッサカリア》においても8小節の主題が40回変奏されています。舞曲の持つシンプルなメロディラインや和声構造を展開していくため、リードはこの曲を「“展開”の原理の入門」にもなると考えていました。芸劇ウインド・オーケストラの若いプレイヤーたちにとってはうってつけの曲であると言えるでしょう。

【大井マエストロからのメッセージ】
「吹奏楽の世界で生きていくにあたってリードの作品は絶対に避けては通れない、ということで採り上げました。彼の作品の中でも《パッサカリア》は特に充実した内容の曲です」

デイヴィッド・マスランカ《交響曲第4番》

アメリカの作曲家、デイヴィッド・マスランカ(1943-2017)はオーケストラや声楽なども作曲しているが、吹奏楽やサクソフォンアンサンブル、管楽器・打楽器のコンチェルトなども手掛けています。また、吹奏楽のための10の交響曲があり、今回演奏される《交響曲第4番》はその中でも代表的な1曲。交響曲とは言うものの、全編が切れ目のない単一の楽章から成っており、演奏時間はおおよそ29分前後。また、日本では大人気のクロード・トーマス・スミス作曲《ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲》と同じく、讃美歌「オールド・ハンドレッズ」が曲に取り入れられており、中盤には荘厳に、後半にはスウィング調で奏でられます。スケールの大きなこの交響曲は感動的で、非常に聴きごたえがあり、今回の演奏をきっかけに多くの吹奏楽ファン、音楽ファンに知っていただきたい名曲です。

【大井マエストロからのメッセージ】
「マスランカの《交響曲第4番》は大曲ですが、彼の作品の中でも特に素晴らしい作品で、アカデミー生のみなさんと共に作り上げるのにふさわしいと思い、採り上げることにしました。オルガンも入るので東京芸術劇場で演奏する意義もあると考えました」

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