ユネスコ傘下のNGOである国際演劇協会(ITI=International Theatre Institute)では、演劇を通じて平和の構築を目指す取り組みとして、世界各地で「紛争地域の演劇」と題するプロジェクトが行われています。
日本センターでは、これに呼応するかたちで、『国際演劇年鑑』(Theatre Yearbook)の調査・研究事業の一環として2009年から「紛争地域から生まれた演劇」シリーズを実施しています。これまで8年にわたり、日本に知られていない優れた戯曲を発見・翻訳し、レクチャーやシンポジウム、リーディングという手法で、さまざまな国や地域の18作品を紹介してきました。
今回は、イランの青年が描いた世界的ヒット作、演出も稽古も装置もなく俳優は封印された台本のページを観客の前で初めて開き、さらに演じることが出来るのは一生に一度だけという『白いウサギ、赤いウサギ』と、ベルギーに住む移民2世の若者たちに寄り添い、彼らのいまを鮮やかに描いた話題作『ジハード』の二作品を、リーディング公演やトークによりご紹介します。
◎『白いウサギ、赤いウサギ』(イラン)
<国際演劇協会日本センター+Aurora Nova 共同製作>
国外に出られない! 自国イランを離れられない29歳(執筆当時)のイランの若手作家は、自分の場所にいながら世界を旅する作品を書いた。観客は俳優とともにここではないどこかに旅に出る。自由を求めて演劇で行けるところまで。2011年の初演から5年間のうちに20カ国語以上で1000回を超える上演、世界的ヒット作。これまでの出演者はネイサン・レイン、ウーピー・ゴールドバーグ、ジョン・ハート、サイモン・マクバーニー、マルクス・ブリグストック、ケン・ローチなど、演劇界、映画界のビッグネームも。作家のナシ-ム・スレイマンプールは1981年、イラン・テヘラン出身、テヘラン在住。兵役拒否のため、2012年まで自国を出られなかった。
※本作品を一度ご覧になった方は、今後一切本作品を演じることはできません。
訳:關智子
出演:堀源起(さいたまネクスト・シアター)(14日19:30開演)
占部房子(15日19:30開演)
髙田恵篤(演劇実験室◉万有引力)(16日19:30開演)
美加理(17日14:00開演)
◎『ジハード』(ベルギー)
ブリュッセルに住む移民2世の若者、ベンとレダとイスマエルは「ジハード(聖戦)」のため、内戦の続くシリアへ向かうが……。モロッコ系移民2世というバックグラウンドを持つベルギー出身の作家イスマエル・サイディが、生まれ持った宗教や人種により偏見や差別に苦しむ移民2世の青年たちの寄る辺ない心や不条理な現状を、ユーモアを織り交ぜながら率直に描いた『ジハード』。この作品は、ベルギーのフランス語圏で多くの議論と共感を呼んだ。2014年12月に初演され、2015年11月13日のパリ同時多発テロ事件、2016年3月22日のブリュッセル連続テロ事件を経て、55,300人が鑑賞している(2016年9月19日現在)。
※今回の上演に合わせ、作家が来日します。
訳:田ノ口誠悟
著作権代理:(株)フランス著作権事務所
演出:瀬戸山美咲(ミナモザ)
出演:日下部そう、盛隆二、本折最強さとし、中田顕史郎
- 日程
- 2016年12月14日 (水) ~2016年12月18日 (日)
- 会場
- アトリエウエスト
- スケジュール
-
●12月14日(水)
◎19:30 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:堀源起
●12月15日(木)
◎19:30 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:占部房子
●12月16日(金)
◎19:30 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:髙田恵篤
●12月17日(土)
◎14:00 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:美加理
●12月17日(土)
◎19:00 『ジハード』 ※終演後、作家とプロデューサーによるトークあり
●12月18日(土)
◎14:00 『ジハード』 ※終演後、作家とプロデューサーによるトークあり
※各回開場は開演20分前(受付開始は開演30分前)
- プロフィール
-
- ナシーム・スレイマンプール Nassim Soleimanpour
-
© Nima Soleimanpour
作家
1981年イラン・テヘラン出身、テヘラン在住。兵役拒否のため、2012年まで自国を出られなかった。
パスポートを入手したのち、ブリスベンのWorld Theatre FestivalやアムステルダムのTolhuistuin、サンパウロのSESC Villa Mariana、ウィーンのシャウシュピールハウス、クアラルンプールのDPA、ブレーメン大学などでワークショップ・ファシリテーター、パネラーとしても活躍。最新作『Blind Hamlet』はロンドンを拠点とする俳優たちに書き下ろされた作品で、UKツアーを行った。
- イスマエル・サイディ Ismaël Saidi
-
© jihad_Saidi
劇作家、演出家、俳優
1976年、モロッコ系移民の子として、ベルギー首都圏のサン=ジョス=タン=ノードで生まれ、ブリュッセル近郊のスカールベークで育つ。広報学、社会科学を大学で学んだのち、短編映画の脚本執筆、監督をはじめる。主な短編映画作品には以下がある:『ある者達、それに対する他の者達 Les uns contre les autres』『マリー・マドレーヌ Marie-Madelaine』、『ひどい騒音 Beaucoup de bruit』、『不条理と逃れる者 Absurde et Loin des yeux』。テレビ映画『リムー Rhimou』は、モロッコにおいて多くの視聴者に受け入れられた。
2010年には、自身初の長編映画『アハメッド・ガショー Ahmed Gassiaux』を公開(監督・脚本)。
2013年11月に劇場公開された、多文化性を主題にした喜劇である長編映画『モロッコのジゴロたち Morrocan Gigolos』は、フランス語圏ベルギーのボックス・オフィスを席巻し、第五回マグリット映画賞を受賞した。
『ジハード』は彼の三作目の戯曲であり、アヴィニョン・フェスティヴァルで成功した作品『これはもうカップルじゃない』に続く注目作である。
日程
会場
スケジュール
●12月14日(水)
◎19:30 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:堀源起
●12月15日(木)
◎19:30 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:占部房子
●12月16日(金)
◎19:30 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:髙田恵篤
●12月17日(土)
◎14:00 『白いウサギ、赤いウサギ』 出演:美加理
●12月17日(土)
◎19:00 『ジハード』 ※終演後、作家とプロデューサーによるトークあり
●12月18日(土)
◎14:00 『ジハード』 ※終演後、作家とプロデューサーによるトークあり
※各回開場は開演20分前(受付開始は開演30分前)
プロフィール
- ナシーム・スレイマンプール Nassim Soleimanpour
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© Nima Soleimanpour
作家
1981年イラン・テヘラン出身、テヘラン在住。兵役拒否のため、2012年まで自国を出られなかった。
パスポートを入手したのち、ブリスベンのWorld Theatre FestivalやアムステルダムのTolhuistuin、サンパウロのSESC Villa Mariana、ウィーンのシャウシュピールハウス、クアラルンプールのDPA、ブレーメン大学などでワークショップ・ファシリテーター、パネラーとしても活躍。最新作『Blind Hamlet』はロンドンを拠点とする俳優たちに書き下ろされた作品で、UKツアーを行った。
- イスマエル・サイディ Ismaël Saidi
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© jihad_Saidi
劇作家、演出家、俳優
1976年、モロッコ系移民の子として、ベルギー首都圏のサン=ジョス=タン=ノードで生まれ、ブリュッセル近郊のスカールベークで育つ。広報学、社会科学を大学で学んだのち、短編映画の脚本執筆、監督をはじめる。主な短編映画作品には以下がある:『ある者達、それに対する他の者達 Les uns contre les autres』『マリー・マドレーヌ Marie-Madelaine』、『ひどい騒音 Beaucoup de bruit』、『不条理と逃れる者 Absurde et Loin des yeux』。テレビ映画『リムー Rhimou』は、モロッコにおいて多くの視聴者に受け入れられた。
2010年には、自身初の長編映画『アハメッド・ガショー Ahmed Gassiaux』を公開(監督・脚本)。
2013年11月に劇場公開された、多文化性を主題にした喜劇である長編映画『モロッコのジゴロたち Morrocan Gigolos』は、フランス語圏ベルギーのボックス・オフィスを席巻し、第五回マグリット映画賞を受賞した。
『ジハード』は彼の三作目の戯曲であり、アヴィニョン・フェスティヴァルで成功した作品『これはもうカップルじゃない』に続く注目作である。
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主催:文化庁・公益社団法人国際演劇協会日本センター
共催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
文化庁委託事業「平成28年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
国際演劇年鑑2017(2017年3月発行予定)特集企画